カップヌードルを食べていると中学生か高校生ぐらいの女の子がホットパンツ姿で現れた。素足に雪用のブーツを履いて何か叫んでいる。弟らしい子を「早く来て」と呼んでいるのだ。すごいマイナス4度の中を素足なんて見たこともなかった。隣で飯を食べているおじさんが「私らと発熱量が違うのだろうね」と言う。納得する。昼食が終了して山頂広場で記念撮影などして歩き始めた途端左足のアイゼンが外れた。10本爪アイゼンの前と後ろを繋いでいるボルトが飛んでいるのだ。近くにボルトは落ちていなかった。右の片足アイゼンで降り始める。9合目で左足を雪に取られて転んだ。立ち上がって少し歩いたところで今度は仰向けに転んだ。注意して降りようと心に決め、ストックを左に持ち変えてみると少しいい感じになった。ところが8合目付近でまた転んだ、この時の転け方は左足が前に放り出され、右脚が屈伸するような形になった。大腿骨の上にある筋肉か筋がギーンと痛くなりそのまま立ち上がれなくなった。10秒ぐらい痛さを堪えていただろうか、近くにいた若いおばちゃんが「おじいちゃん大丈夫ですか」と聞いてくる。すぐ前を歩いていた青年も少し遅れて「大丈夫ですか」と言う。やっとの思いで「大丈夫です」と言いながら腰をあげたが激痛が走る。少し歩いてまた仰向けにひっくり返った。腰は打ったが先ほどの痛みではない。片足のアイゼンでの歩行がこんなに危険なものか思い知らされた。思えば今日の朝装備の点検もなしにリュックに詰め、安易に金剛山への登山を行なった自分にバチが当たったのだろう。
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