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『鉢ヶ峯の森」があぶない

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■堺市環境影響評価条例に基づく「配慮計画書」が」提出される!



平成22年9月、茨木市の学校法人藍野学院(理事長 小山英夫氏)が、自校の野外活動施設開発(約23.3ha)に向けて、堺市環境影響評価条例に基づく配慮計画書を堺市に提出しました。建設発生残土で森を埋立て、野球場・多目的グラウンド・テニスコート等を建設するものです。この動きに対して本会は平成22年12月市議会で市長、市議会議長に対して次の2項目の第3次の要望・陳情を行いました。
○同条例に事前配慮制度を導入した趣旨を踏まえて、開発に対する配慮計画に対して実効ある審査を行うこと。
○開発者に保全の働きかけを強め、万一、開発者の理解が得られない場合、都市緑地法の「特別緑地保全地区」の指定等の有効な措置を講じること。
 同時に多くの市民の参加の中で「里山の生物の多様性と鉢ヶ峯の残土処分(開発)問題を考える集い」を開催し、鉢ヶ峯の森の保全をアピールすることができました。
その後、堺市は堺市環境影響審査会の答申を受けて事業計画地は樹林地率が100%に近く自然環境・生物多様性の豊かな地域であることから自然環境の保全や生物多様性の維持に関して最大限の配慮が必要であるなどの理由により「事業を回避することも含めて検討すること。」という計画審査結果を藍野学院に示しました。


■鉢ヶ峯の森を「特別緑地保全地区」の指定に・・・



H23年1月には堺市から諮問を受けた堺市緑の政策審議会が「豊富な緑地や希少な動植物が残る堺市の南部丘陵約160ヘクタールの区域(※鉢ヶ峯の森を含む)について、開発に市長の許可が必要な特別緑地保全地区の活用が有効。」と堺市長に答申しました。この答申を受けて、堺市は第5回堺市都市計画審議会に開発圧力が強いエリアとして野外活動施設開発予定地のうち約14.5haを「鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区」に指定する都市計画素案を報告し、都市計画決定の手続を進めることを明らかにしました。特別緑地保全地区に指定されると開発を不許可にすることができ、その代わりに土地所有者は市長に当該土地の買取り請求や損失補償を求めることができます。
都市計画決定の手続きとして公聴会が4月に開催され、17人の公述人が特別緑地保全地区素案について賛否の公述(反対7人/開発者側2人、近隣接地権者5人、賛成10人/環境団体8人、地元団体2人(鉢ヶ峯土地改良区、同営農組合))し、反対の主な理由は私有財産権の侵害や説明が不十分等でした。




■藍野学院が「野外活動施設開発計画」は当初からないと表明!


特別緑地保全地区の都市計画決定手続が進められている中で、5月に藍野学院は計画の一部を変更したものの、堺市の審査結果を無視するかのように環境評価の方法を記した「方法書」を堺市に提出しました。ところが数日後、藍野学園は堺市に「その方法書は何者かの偽造で開発計画は当初からない。」などを申し入れ、環境影響評価条例の一連の申請書は何人かに偽造されている」と申出し、アセス手続を凍結された状態になっています。
8月になって藍野学院は元理事長が現職時に理事会の決議を経ずに
野外活動施設開発を計画し、退任後も開発計画の経費約7200万円を不正に支出した。」として背任罪容疑で大阪地検への告訴のほか、損害賠償請求を提訴し現在係争中です。



■この間の「鉢ヶ峯の森」の土地所有を巡る不可解な動きと背景


今から20年程前に鉢ヶ峯寺地区でゴルフ場開発計画予定(130ha)の多くを藍野学院グループが買収しましたが、その後ゴルフ開発が頓挫しました。以下、土地の所有を巡る経過です。
○平成19年2月 藍野学院はその予定地の一部である鉢ヶ峯の森(約20ha)を同グループから約1.4億円で購入。
○平成23年3月 元理事長から学生寮建設費の融資を受けた藍野学院は、代物返済で元理事長に所有権を移転。その数日後には元理事長に4.3億円を貸していた樟蔭東学院(東大阪市)が所有権移転請求権の仮登記と抵当権を設定。この動きの背景について毎日新聞等で大きく報道されました。
○元理事長が学校の経営難に陥った樟蔭東学園に2億円の資金融資を行い、同学園の顧問就任と理事選任権を取得し、学園の事実上のオーナーになる。
・元理事長が樟蔭東学園から無担保で4.3億円の融資(3.8億円+1億円追加融資の計4.8億円のうち、0.5億円のみ返済)を受ける。
・外部通報で知った文部科学省や大阪府は教育目的に使われるべき補助金や授業料が含まれる学校資金を学園顧問の元理事長の私的利益のために不適切な融資したとして、早期に元理事長から融資金を回収するよう同学園を指導。
・文部科学省等からの指導に従い、樟蔭東学園は元理事長に返済の督促を行い、元理事長は昨年7月4日付の文書で「所有している鉢ヶ峯の森が別緑地保全地区に指定され、その土地の売却金で融資金を弁済する予定であった。」などと督促に対して回答。



■鉢ヶ峯の森の大半が樟蔭東学園の所有に・・・そして現地に開発の看板を設置!


今年2月19日、毎日新聞で元理事長所有の約20haのうち17.5haを昨年12月末に代物弁済で樟蔭東学院に所有権を移動していたことが明らかになりました。文部科学省は「代物弁済の土地に融資額に見合う価値があるという保証はない。現金化できるかどうかも不確実で、学校法人として非常に不適切だ。」として処分を検討して現地に設置された看板います。さらに最近、鉢ヶ峯の森の付近に「学校法人樟蔭東学園野外活動施設グラウンド計画予定地」の看板が設置されました。元理事長を核に融資問題に絡んで藍野学院から元理事長を経て樟蔭東学園に複雑に土地所有者が変わり、元理事長が事実上のオーナーである樟蔭東学園が新たな開発者として浮上しました。樟蔭東学園の狙いを含めて、今後の鉢ヶ峯の森での開発の動きが予断を許さない状況になっています。引き続き、今後の動向を注視しながら南部丘陵の保全を求めて取り組みを進めていきます。