高見山登山口から高見山までの道の初めのところはきれいな山道だった。そしてこれは昔の伊勢南街道で高見山峠を越えて松坂に至る道だったことも初めて知った。また古市の看板も出てきてその市で商いされた品物も書かれていた。それゆえ途中まではよく整備された道だった。高見山の登山口で私はバスを降りたがおばあちゃんは終点の杉谷まで乗って行ったのだろう。おばあちゃんの話を頭の中で反芻しながら、考えてみた。部落にはもう70代80代の爺ちゃんばあちゃんしかいない。若いものはみんな出て行ってしもうてる。もう村には100人もいないと。これって限界集落じゃないか。かなり以前高知大学の大野教授が最初の言った言葉だ。人口に65歳以上の人が占める割合が50%以上で村の共同体としての機能が麻痺してしまっている。それもかなり進んでいるとしかいいようがない。こんな話を聞くと限りない寂しさに襲われる。私が若かったならなんとかせにゃ行かんと考えたものだったが、今は寂しく思うだけの心情しかない。小峠までは約1時間かかった。ここで普通の道路が通っているのを見たがこちらはバスの運行はない。小峠から15分歩くと高見山への分岐があり、さらに進むと白峠に出た。ここまで車で来れるらしい。白峠から少し勾配がある道を歩いて約40分ほどで頂上(1248m)についた。眺めはよく弥山や大台ヶ原が見える。風が強いのですぐ戻ろうとすると若い登山客が一人登ってきた。そこでセルフタイマーで写真を撮るのをやめ、撮ってもらうことにした。彼は私が登山口から歩いてきたことを讃えてくれた。彼は白峠から登ってきたので登山としては簡単な道だったから、気まずさを感じたのかもしれない。頂上は15時40分到着で約3時間かかった。下りはバス停までやく2時間30分で降りなければならない。16時50分白峠着、かなり汗をかいたので、10分休憩。再び急ぎ足で登山口に向かう。17時50分高見登山口着予定より早くついたので、今日泊まるビジネスホテルに電話する。遅くなるのは全く構わないという。携帯で松坂到着時刻を調べると21時14分だ。
霊峰高見山1230m