幌尻山荘のベンチで昼食にカレー飯を食べコーヒーを飲んでゆっくりする。今井さんは「この雨じゃ明日バス来ないかもしれないから降りることにした」という。17時まで約5時間弱あるので余裕を持って降りれるだろうという。本人は登山靴を履いていたが沢に近付いたら地下足袋には着替えるという。私も降りることにしたら山荘の主人は「あなたは沢登りに時間がかかったから17時までに降りれないことがあるかもしれない」という。携帯電話を取り出してバスの運転手に電話してくれて「米道綱夫と言う人が遅れるかもしれないから少しの時間待っててほしい」と電話してくれた。12時35分に出発、約1時間歩いて渡渉も10回は終わった時だった。ちょっと急な流れの中に足を入れて次の足を岩の横の水の中に置いた、水深は40cmぐらいだったろう水の流れが早いので靴の様子はわからなかった。次の一歩を踏み出そうとすると靴が水の中の岩と岩の間に挟まった。その途端身動きが取れなくなって頭から川の中に落ちた。頭から胸までびしょ濡れになった。手は水底につけたのでなんとか起き上がれたが、そのまま3m流された。ほんの一瞬だったが一物どころか肝を冷やした。私より後から降りている木下さんはまだ姿が見えなかった。なんとか起き上がれたからよかったもののうつ伏せのままでいたら危なかった。この後慎重に渡渉を5回ぐらい繰り返してやっと水力発電の設備についた。14時20分である。そして少し休憩をして濡れたベストをしまい、雨も降っていたので保温のため雨具を上から着た。ここからは広い道になっているので心配はない。バス停まで普通に歩いて2時間と少しだ。カメラを出してクマまたは鹿やエゾリスがいたら撮ろうと思って歩いた。残念なのはエゾリスが出てきたが写真を撮れなかったことだ。リスは昼行性なので撮る機会はある。後方羊蹄山でもリスは現れた。3回シャッターを切ったが残念ながら写ってなかった。茶色と黒の縞模様が美しいリスだ。16時45分バス停着、中島さんがいてあまり早く降りたことを後悔していた。2時間以上バス待ちだったらしい。私たちより5分遅れて大西さんら3人組が降りてきた。幌尻山荘宿泊予定だったがバスが来ないこともあるので急いで降りてきたと言う。頂上も極めた時ほんの一瞬晴れ間があったとそれよりも熊に遭遇したことを喋ってくれた。登山道そばに熊が現れどいてくれないものだから睨めっこをしたと言う。熊はにらめっこに飽きてそれとなくどっかに行ってくれたと。バスの中ではその話が持ちきりになって、熊への対処の仕方などそれぞれ話し合った。また熊とにらめっこしている時の写真も携帯で撮っていて見せてくれた。30mぐらいしか離れていなかったと言う。